走り継ぐべき絶版オフロードマシン95 SUZUKI DJEBEL200

現行ラインナップになくても、あの頃の憧れや、もう一度乗ってみたいという思いをかなえてくれるのが絶版車。数ある絶版車の中から、今回はSUZUKI DJEBEL200を紹介します。

Specification 全長×全幅×全高(mm):2150×805×1150 車両重量:124kg エンジン形式:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ボア×ストローク(mm):66.0×58.2 排気量:199cc 最高出力:20ps/8500rpm 最大トルク:1.8kgf・m/7000rpm 始動:セル式 タイヤ前:70/100-2144P タイヤ後:100/90-18 56P 発売当時価格:32万9000円

絶版オフロードマシンを語るなら、避けては通れぬジェベルシリーズ。90年代から2000年代半ばにかけて、スズキ4ストオフのベーシックモデルとして存在感を発揮。中古車市場でもタマ数が豊富で、選択肢の中にいつもあった。

丸いヘッドライトを守るようにパイプガードを備え、見るからにタフ。外装も派手なグラフィックとは無縁で、質実剛健で頼もしい。80年代のような戦闘力勝負には、もう付き合わない。そう宣言するかのように、見た目からして落ち着いていた。

「DJEBEL」はスズキの造語で、「山」などを意味するアラビア語に由来する。250XCを長兄に200、125と3兄弟で、それぞれ信頼性の高いエンジンと丈夫な車体で、ツーリングライダーに根強く愛された。

今回紹介するのは、93年3月に発売されたジェベル200。前年11月にDR系の油冷DOHC4バルブエンジンを継承し、ジェベルのネーミングを冠し一足先にデビューした250XCに対し、SX200Rの空冷SOHC2バルブエンジンを受け継ぎ、4カ月遅れで登場した。ちなみにジェベル125も同年5月に発売し、ラインナップが勢揃いする。

ジェベル3機種は、DRやSXにはなかったセルスターターを標準装備し、ツーリングモデルとしての利便性を向上。スプリンターは2ストモデルのTS200R(89年~)やRMX250S(96年~)に担わせ、ジェベル200はノンビリと走る旅に適したモデルへと特化した。

車体が大きく、キャスターを立てたジェベル250XCより、ハンドリングやエンジンも穏やか。6速ミッションを組み合わせ、バランサー付きの250XCは高速巡航での快適性も意識していたが、200は5速ミッションでバランサーなし。50ccの違いながらキャラクターの差別化がしっかりされ、それぞれに魅力がある。

取りまわしがよく、エンジンパワーもマイルドで扱いやすい200。神経質さがなく、極低速域も粘り強くトルクを発揮するから、発進時もクラッチミートに気を遣う必要がなく、ビギナーにも親しまれた。

シート高は810㎜と250XCより75㎜も低く、足着き性にすぐれる点もセールスポイント。女性から指名買いされたことも付け加えておこう。

SX譲りの空冷エンジンはすでに熟成期にあり、スペック競争もしない性格上、登場以来大掛かりな改良はなかったものの、小変更は見られる。

まず、94年に鉄製だったエキゾーストパイプをステンレスに変更し、96年には角ミラーを丸型に。排ガス規制に対応するため00年にキャタライザーが追加され、キックスターターやハザードスイッチも備えた。03年にはメッキシリンダーを採用し、エンジンの放熱性や耐久性を向上。インジェクションへの移行が必要なかった時代を背景に販売され続け、気がつけば発売から12 年というロングセラーに。国内仕様は05 年に生産終了となったものの、セローなどライバルが250化するなか、ベストバランスともいえる200好きは昔から少なくない。気軽で扱いやすい、隠れ名車といえるだろう。

忘れちゃ困るいぶし銀!“200”の魅力を凝縮

スリムな車体で、車重も106kg(乾燥)と軽量なため取りまわしにすぐれる。最低地上高260mmを確保しつつ、シート高は810mmと低く、足着き性も良好。
ヘッドライトを保護するパイプガードが、屈強なフロントマスクを演出。スタック時に引っ張ったり、荷物を固定するのにも役立つ。F21/R18インチに細身のトレールタイヤを履く。標準装備のリヤキャリアは、シート座面とフラットで積載しやすい。
最高出力20PS/8500rpmを発揮する空冷4ストSOHC2バルブ単気筒エンジンはSX200R譲り。燃費性能にすぐれ、容量13ℓの燃料タンクによって、長い航続距離を実現している。
正立フォークはキャスター角29度にセット。穏やかで安定志向のハンドリングを生み出す。おなじみ、スズキのフルフローターサスペンション。奥で踏ん張りが効く設定だ。
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