走り継ぐべき絶版オフロードマシン'01 KAWASAKI SuperSHERPA

現行ラインナップになくても、あの頃の憧れや、もう一度乗ってみたいという思いをかなえてくれるのが絶版車。数ある絶版車の中から、'01 KAWASAKI SuperSHERPAを紹介します。

Specification 全長×全幅×全高(mm):2060×780×1130 乾燥重量:111㎏ エンジン型式:空冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク(mm):72×61.2 排気量:249cc 最高出力:26ps/9000rpm 最大トルク:2.6kgf・m/7000rpm 始動:セル式 変速:6段 タイヤ前:2.75-2145P タイヤ後:4.10-18 59P 発売当時価格:40万9000円

誰もがオフロードライディングを楽しめるようにと披露されたKLX230の報道向け発表会。記者からは「“シェルパ”というネーミングを使ってもよかったのでは!?」という声もあった。それは、新型KLX230が、250時代初期のような“闘う4スト”路線ではなく、スーパーシェルパのようなコンパクトな車体だったからだ。

セローに対抗するカワサキ・トレック系といえば、これしかない! というほどに我々オフロードバイクファンの心に残っているのが、このスーパーシェルパ。1997年に登場し、隠れた名車として名高いモデルだ。

レーサーレプリカブームに呼応するかのように、80~90年代には過激なフルサイズ・オフローダーが数多く登場した。街乗りや林道ツーリングのみならず、エンデューロレースも想定し、前後サスペンションのストローク量は長くなり、エンジンもピーキーになるばかり。必然的にシート高が高くなり、ビギナーや女性、小柄な人には敬遠されがちとなったのは想像にたやすいだろう。

そんななか根強く支持されてきたのが、おなじみのヤマハ・セロー。扱いやすいオールラウンダーは、コンペ志向になるデュアルパーパスたちの中で揺るがない人気を誇った。

そのセローに真っ向勝負を挑んだのが、スーパーシェルパだった。デビューした97年は、ホンダからもSL230(MD33)が発売され、フレンドリーでダートをノンビリ走りたいという市場からの要望が強かったことが分かる。

一気に激戦区となったトレッキング系モデル。走破性を確保しつつ、シート高をいかに低くできるかがこのセグメントではまず重要だが、モデルチェンジしたばかりのセロー(4JG)、SL、スーパーシェルパのシート高は810㎜と横並び。さらに、左右51度という広いハンドル切れ角も3車まったく同じで一歩も譲らずであったが、スーパーシェルパだけが排気量249㏄のDOHC4バルブエンジンを搭載。KLX250SR/ESの水冷単気筒をベースに空冷化したもので、空冷SOHC2バルブ223㏄だったセローとSLに大きなアドバンテージとなっていた。

そのパワフルさはスペックを見ても明らかで、セローやSLが20㎰しかないところ、スーパーシェルパは26㎰/8000rpmを発揮。もちろんスペック至上主義ではないところがこのカテゴリーの大きな魅力だが、足着き性にすぐれ、ハンドルが大きく切れる扱いやすく軽快な車体に、力強いエンジンの組み合わせがファンを唸らせ、カワサキらしさもしっかりと垣間見られた。

その後、セローも2005年に225→250㏄化することを考えると、スーパーシェルパがライバルらより先に250㏄で登場していた意味は大きい。

ここで紹介するのは2001年型。傷みやすい外装もシャキッとし、状態のよさに舌を巻く。オールラウンダーとしての実力は現代でも高く、最新のセロー250と走ってもDOHC4バルブならではの力強い走りでひけをとることはないだろう。

一歩先行く250トレックバイクカワサキらしさがそこにある

親しみやすいスリムで軽量な車体。しなやかで高い走破性を持つ足まわりは、フロント21/リヤ18インチ。車輌重量(乾燥)は111kgと軽い。
全幅780mmの細身は、悪路や市街地で扱いやすい。マフラーも張り出しはなく、ウインカーとほぼ同じ幅に収まっている。
KCAとパイプ触媒を組み合わせた「KLEEN」を搭載し、すぐれたレスポンスと充分なパワーを発揮する空冷DOHC4バルブ単気筒エンジン。MIKUNI BST34キャブレターがセットされ、トランスミッションは6速。
フロントフォークはインナーチューブ径36mmの正立式。左右51度のステアリングアングルは、ライバルとなるセローやSL230とまったく同じ。トレッキングを意識した作りだ。前輪ディスク径は240mm。ユニトラックサス採用で、後輪ホイールトラベル170mmを確保した。
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