春の大阪/東京モーターサイクルショーで、新たにマラグーティなどのブランド展開を発表したモーターリスト社の野口代表。そのモーターリスト社の主力ブランド、ファンティックの魅力を語っていただく人気連載コラムをお届け。今回はインターナショナル・シックスデイズ・エンデューロに関する思いを語っていただいた。
FANTIC日本代理店「モータリスト合同会社」の野口代表自らが、FANTICへの想いをつづる!
エンデューロファンにはおなじみのISDE=インターナショナル・シックスデイズ・エンデューロが9月初旬、イタリアで開催されました。1913年の第1回以来、1世紀以上の長きにわたって開催されてきた、エンデューロ・ライダーなら一度は夢見る大会であり、国別の「ナショナル・トロフィー」を競う「エンデューロ・オリンピック」ともいわれるフォーマットもその魅力のひとつです。ISDEの魅力はこれだけで紙幅が尽きてしまうくらい豊富ですが、本誌を始めさまざまな形で語り尽くされているので、ここでは省きます。まあ要するに、エンデューロの世界で最大のお祭りであり、マシンとライダーの総合力が試される厳しいレースでもある、ということがお分かりいただければ。
2021年のISDEは、2020年にCOVID-19の影響を受けて延期となったイタリア会場で、第95回大会として開催。北イタリア、ロンバルディアからピエドモントにかかる会場は、ミラノから100㎞弱という好立地。近隣に多くのエンデューロ・チームやオートバイ・メーカーを抱える聖地ともいえる地域でもあります。私もレースではありませんが、メダルフィニッシャーの案内で、このレース会場の一部を走ったことがあります。もちろん「テスト」といわれるタイム計測のあるスペシャルステージではなく、「ルート」といわれる移動路を中心に走ったわけですが、ラリーの「リエゾン」とは天地の違いで、まったく楽に走れるようなコースではありません。暑い一日、肩で息をしながらよたよたと走る僕に、引率のライダーが大声で「ガス!」と叫びながらアクセルを全開にするしぐさを見せてくれたのが懐かしい。でもおかげで、モニターで見るだけではない、本物のエンデューロの片りんを知ることができました。
さて、残念ながら日本からはナショナル・チームの参戦は得られませんでしたが、レースでは地元イタリアが見事にワールド・トロフィーを獲得しました。ファンティックは、この優勝したチーム・イタリアの4人のライダーのうちの一人、ダビデ・ガルネリがライディング。個人総合で9位、トロフィーチームのE1クラスで3位と、チームの勝利に大いに貢献しました。ファンティックにはE1(250㏄以下)クラスに参加できるマシンしかありません。そんな小さなメーカーのマシンがライダーに選ばれ、こうして表彰台の一角を占めることができたのですから、もちろん地元・イタリアのメーカーでもあり、大騒ぎとなったのでした。なお、ジュニア・トロフィーという23歳以下のライダー3人で競うクラスもイタリアが総合優勝。ここで3位に入賞したスウェーデンに大いに貢献したのがファンティック・レーシングチームのアルビン・ノブリンでした。
チーム・ファンティックは世界選手権エンデューロで大活躍中ですが、ISDEのようなクロスオーバーな戦いでも戦力としてチームの力になれることが証明でき、さらに盛り上がるきっかけとなったのです。ファンティックにとって今回の表彰台は、ちょうど40年前、同じイタリアはエルバ島で開催された「シックスデイズ」で、ガルティエロ・ブリッソーニが表彰台に上ったことをまた想起させる歴史的な瞬間でもありました。早速、ファンティックではこの歴史の邂逅を記念した、当時をオマージュしたカラーリングのマシンを作り上げ、SNSで公開しています。私たちモータリストのSNSをフォローしていただけると、こうしたニュースもご覧いただけるようになります! FacebookやTwitter、InstagramやYouTubeと多くのチャンネルでさまざまな情報を発信中。ぜひご覧ください。