サイン・ハウス車両事業部から、昨年末にモータリスト合同会社として新しいスタートを切った「ファンティック」「ランブレッタ」「SYM」などを取り扱うモータリスト合同会社。その陣頭指揮をとる野口代表がファンティックへの想いを綴っている人気コラムがWEB版に初掲載。人気のモデルとその魅力を語ってもらった。
Fantastic FANTIC 第1話:キャバレロへの想い
ファンティックがキャバレロというモデルを最初に送り出したのは、1969年のことでした。その前年、68年に創業してわずか1年。ミニバイクを北米市場に売り込むことから始まったファンティックは、ミナレッリのエンジンをベルリッキ製のフレームに搭載した本格的なスクランブラーを作り上げたのです。キャバレロ、すなわち騎士と名付けられた50㏄のスポーツバイクは、レースバイクではなく、あくまでもキッズライダーたちのために用意された、しかし本物のオフロードを走れるストリートバイクだったのです。
その流れは今も変わりありません。ファンティックは、いまも「エンデューロ」「モタード」と名付けられた本格的なフルサイズの50㏄を用意していますし、キャバレロはファンティックの主力モデルとして、ストリートからオフロードまで幅広く楽しめるスクランブラーを中心に送り続けています。
最近流行の兆しを見せているスクランブラーは、ストリートモデルをベースにアップマフラーを装着して、少しばかりサスペンションストロークを伸ばしたモデルのこと。その軽快そうなイメージとマルチパーパスなフォルムが、先鋭化が進みオンオフの両極に分化してしまった現代にはかえって魅力的に見えるのが人気の一因ではないでしょうか。中でもファンティックのキャバレロ・シリーズは、その軽量な車体、フレキシブルなエンジン、腰のあるサスペンションに支えられ、真のマルチパーパス・スクランブラーとして高く評価されています。ファンティックがスクランブラーにこだわるのは、オートバイの楽しみを規制されたくないから、の一点に集約されます。
キャバレロと名付けられたモデルは、一時はファンティックのほとんどのラインナップに存在するほどに広がりましたが、競技専用モデルには名付けられてこなかったという歴史があります。競技には競技専用のモデルを用意しつつ、キャバレロ・シリーズはライダーのマルチな楽しみかたをサポートするパートナーでありたい。そうしたファンティックの物作りへのこだわりが、キャバレロを現代におけるスクランブラーに仕立て上げたともいえるでしょう。バイクは、若者にとってはデートのための大切な道具ですし、移動のために欠かせない手段でもあります。キャバレロが一台あれば、仲間やパートナーと町から郊外まで、場所を問わず存分に楽しむことができてしまう。それを遮るものもなく、高額過ぎず、身近に手に入れられる、しかし所有感のある大切なパートナーとして。安く売ること、それを第一義に作られたバイクとは決定的に違う「走る」バイクとしてのこだわりが、キャバレロを支えています。バイクは走ってなんぼ、まずはそれが前提にあり、さらに手元に置いておきたくなる作りのよさが必要です。ファンティックの物作りには、そうしたライダー心をくすぐるバランスが光るのです。価格をはるかに超える価値。それは、バイクをよく知るチームが開発し、自分たちが夢中になれるバイクを作りたかったという思いが反映されるからこそ、用意できるものなのではないでしょうか。次回は、そうした小憎いポイントをさらに細かく見ていきましょう。
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